薬機法の直し方を、書く前に渡しました。変わったのは、チェックではなく書き方でした
NGの直し方は、ずっとAIが書いた“あと”にしか登場していませんでした。
AIが下書きし、佐久間が確かめました
2026-10-05 / 仕事
サプリメントを扱うクライアントのブログ記事を、AIと一緒に書いています。美容や健康の話題なので、避けて通れないのが薬機法です。「効く」「治る」「若返る」——食品の記事では、こうした言い切りは使えません。
最初のころの進め方は、こうでした。
① AIに記事を書いてもらう ② できあがった文章を読んで、NGな表現を探す ③ 「この表現は、こう言い換えてください」と直してもらう ④ 次の記事で、また①に戻る
NGを見つけて直す。その「直し方」は、手元に一覧としてたまっていきました。「現在の表現」と「修正案」を並べた、文言修正のメモです。
タイトル案の時点で、もう「若返り」と書いていました
いま、初期にAIと出したタイトル案の一覧を見返すと、こんな案が並んでいます。
・美容のプロが明かす!プラセンタ×コラーゲンで叶える若返り術 ・お風呂×プラセンタで疲れ知らず!美容効果を2倍高める入浴法
どちらも、そのままでは使えません。「若返り」は効能をうたう表現ですし、「効果を2倍」は効果の断言です。 読めばすぐ分かることなのに、AIはこう出してきます。考えてみれば当然で、わたしは「薬機法に気をつけて」とは言っても、何がダメなのかを渡していなかったのです。
つまり修正メモは、AIが書いた“あと”にしか登場していませんでした。 正解はわたしの手元にあるのに、書く本人には見えていない。だから毎回、同じ種類のNGを、同じように直していました。
直したメモを、書く前の約束に移しました
そこで、たまった修正メモを、記事を書く手順そのものに組み込みました。AIへの指示に、「記事を出力する前に、以下を必ず確認する」というチェックリストを入れたのです。中身はたとえばこういうものです。
絶対NG ・「効果」「効能」の断言 → 「サポート」「栄養補給」に ・「治る」「改善する」「予防する」の断言 ・「朝食と一緒に」など、飲む時間の指定 → 「お好みのタイミングで」 ・ビフォーアフターを想起させる変化の説明 推奨表現 ・「〜とされています」「〜といわれています」 ・「あくまで食品であり、医薬品ではない」を文脈に組み込む
やったことは、新しいルールを作ったことではありません。すでに手元にあった「直し方」を、書く前の場所に移しただけです。
before AIが書く →(わたしがNGを探す)→ 直してもらう after NGを知ったうえで、AIが書く
変わったのは、チェックではなく書き方でした
最初は、これを「チェックを自動化する話」だと思っていました。でも、実際に変わったのはチェックではありませんでした。
NGを最初から知っているAIは、NGを書いてから消すのではなく、はじめから断定しない文体で書きはじめます。「〜を改善します」と書いて「〜をサポートします」に直すのではなく、最初から「〜とされています」の形で文章が組み立てられる。 言い換えの作業がなくなったのではなく、言い換えが要る文章が、そもそも出てこなくなったのです。
これは「いいプロンプトは、人にも伝わる説明でした」で書いた話の、続きのようなものでした。あのときは「前提を省くと、AIは勝手に埋めて進む」と書きました。薬機法も同じで、「気をつけて」は前提ではなく、ただの願いでした。何がダメで、代わりに何と言えばいいか。そこまで渡して、はじめて前提になります。
ついでに、ひとつ意外なこともありました。断定を避けて「〜とされています」と中立に書く文体は、ChatGPTのようなAI検索が引用しやすい書き方とも重なります。 守るために始めた書き方が、読まれるための書き方にもなっていました。
学んだこと
チェックというと、「できたものを、あとから見る」作業だと思いがちです。でも、あとから見るチェックは、何度やっても次の1本を良くしてくれません。直した記録は、次に書く人の手元に置いてはじめて、直す回数を減らします。
claspのときは、AIを実物のとなりに置きました。差し替えのときは、変えたい人を変える対象のとなりに置きました。今回は、直し方を、書く手前に置きました。 何かを毎回あとから直しているなら、その直し方は、たいてい書く前に渡せます。だいたい、そこに理由があります。
この話の続きは、サイトの中にあります
AIXの考え方を見る →佐久間
コードは書かず、AIに「こう作りたい」を伝えてプロダクトをつくる、いわゆるバイブコーディングで開発しています。だから毎日いちばん書いているのは、コードではなくAIへの説明(プロンプト)です。この記事は、その説明を“いつ”渡すかを変えたら、直す作業ごと前に移った話です。
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